受賞者インタビュー

第18回 金の星賞(大賞)
受賞作品「 セミのぬけがら 」

山木 晴香さん
大阪教育大学附属高等学校1年


【山木 晴香さんコメント】

《NHK盛岡放送局佐藤龍文アナウンサーによるインタビュー》

佐)山木さん、金賞おめでとうございます。
今日はご家族の方もお越しになってますけど、この受賞についてはご家族はどのようにおっしゃっていますか。

山)もともと全く内緒で応募していて、先月、受賞したってわかってからこの賞に応募したと言いました。

佐)事前には言ってなかったんですね。

山)はい、恥ずかしかったのでぎりぎりまで作品も読ませませんでした。

佐)入院している病院でなかよしの理音と大悟が主人公でそこに出てくる窓際に置かれたせみの抜け殻、こういう、作品の構想ってどういう風に思いついたんですか。

山)高校生童話大賞のチラシが職員室の前に貼ってあって、出すかどうか迷ってるときに、夏休みは私は生物部でセミのぬけがらを集めていて、セミで何か作品を作れたらいいかなあと思って、セミといえば一週間しか生きられなくて儚いから、病気の女の子をテーマにしようかなと思いました。

佐)でもこの生と死、涙と微笑み、いろんな表情、場面に向き合う、それを文字で表現することは難しくありませんでしたか。

山)いろいろ書いては消したりしてました。もともと文芸部にも入っていて書くことも好きなので、二つの部活を最大限に使って書いた感じになります。

佐)なるほど、ご自身の身近にあるところからヒントを得てこの作品が出来上がったんですね。 ちなみにこのあと、花巻北高校放送部のみなさんが山木さんの作品を朗読することになっています。
文字で書いたものが朗読になるのはどのような気持ちですか。

山)自分の文章が声に出して読まれるのは初めてのことなので楽しみです。


佐藤龍文アナウンサーによる宮沢賢治作品の朗読


花巻農業高等学校生徒による鹿踊(郷土芸能)




上田花巻市長よりお祝いのことば


司会 佐藤龍文アナウンサーから受賞者へのインタビュー
左から:P口さん(福岡県立修猷館高等学校)、 西部さん(京都府立北嵯峨高等学校)、 山木さん、 藤川さん(徳島県立富岡東高等学校)、 千葉さん(岩手県立一関第一高等学校)、 吉田先生(日本女子大学附属高等学校)

花巻北高等学校生徒による大賞作品の朗読


受賞者記念撮影



ご来賓・ご出席の皆様での記念撮影

〜賢治のまちから〜第18回全国高校生童話大賞(富士大学・花巻市・花巻市教育委員会主催)の表彰式が、2018年12月15日(土)になはんプラザ(花巻駅前)で行われました。

表彰式には金の星賞・銀の星賞受賞者の4名と、銅の星賞を受賞した岩手県の1名をお招きしました。また、学校賞を受賞した日本女子大学附属高等学校(神奈川県)から、代表として吉田恵理先生にお越しいただきました。 会場には受賞者のご家族、選考委員や花巻市・本学の職員などが出席し、一般の方々も多数ご来場いただきました。

岡田実行委員長に代わり富士大学中村副学長のあいさつと、選考委員を代表してやえがしなおこ先生から講評を頂いたあと、受賞者には、中村副学長と大久保嘉二NHK盛岡放送局長から、表彰楯とトロフィー、記念品が贈られました。  続いて上田東一花巻市長から受賞者へのお祝いの言葉がありました。その後、佐藤龍文アナウンサーによるインタビュー形式で、それぞれの受賞者の方から作品のことなどについてお話をいただきました。

今回の表彰式では、開式前に、宮沢賢治と同じ花巻市出身の司会 佐藤龍文アナウンサーが、賢治さんも話していたであろう花巻弁で『雨ニモ負ケズ』『噴火湾(ノクターン) 』を披露してくださいました。
その後、恒例のアトラクションとして、花巻農業学校鹿踊部生徒さんたちが郷土芸能 鹿踊(ししおどり)を演じてくださり、表彰後は地元花巻北高校放送部生徒さんたちが金の星賞の朗読を披露し表彰式を飾ってくださいました。

花巻市は、童話作家である宮沢賢治の生誕の地です。このまちから全国の高校生に“童話”という自由な表現の場を提供する「全国高校生童話大賞」を企画し18回目となる今回は、全国から861篇(高校数:176校)もの作品が寄せられ、金・銀の星賞のほか銅の星賞(佳作)7作品が入賞となりました。

作品講評

■石野 晶・・・・・
入院生活の詳細な描写が見事です。主人公の心情が細やかに書かれていて、辛さや苦しさが伝わってきました。闘病ものだから、最後は悲しい結末になるのかなと、覚悟して読み進めましたが、予想を裏切られました。最後の部分の生きたい、生きている、という主人公の言葉がとても胸に残ります。

■牛崎敏哉・・・・・
中学校の制服を一度も着ることなく、血液の病気で入院することとなった理音の物語。セミのぬけがらを通して、三年間の闘病生活が描写されていく。構成が完璧で、過不足ない文章で、真正面から死と向き合った作品であるため、ノンフィクションかと思わせるリアルさに言葉をなくしてしまった。

■夏井 敬雄・・・・・
骨髄移植で入院している少女。その少女が生と死の瀬戸際でセミになる。すると、物語は不自由な闘病生活から自由な時間旅行に一転し、少女はいくつもの夏の時間を行き来しながら、「生きる」ことを強く願うようになる。「未来の夏に生きている、わたしになりたい」という主人公のことばに強く心を打たれた。時間旅行の中で、「命」の意味をいくつも重ねたうえで、「生きる」ということばに結びつけたところに感動が生まれたと思う。

■やえがしなおこ・・・・・
難病の主人公は、死線をさまようクライマックスでセミとなって、夏を巡る追憶の旅に出ます。様々な夏の日々を巡るうちに、主人公の胸に「生きたい」という強い思いがわき起こり、主人公を生へと導きます。難病を扱った物語は、ともすると安易なものになってしまいますが、「生きたい」と願う場面が圧巻で、強く引きつけられました。希望の光で美しく輝く物語です。

金の星賞(大賞)受賞作品
『セミのぬけがら』(受賞作品ライブラリーへ)